鬼滅の刃が社会現象になった理由の考察

鬼滅の刃は、少年ジャンプに2016年から2020年に渡って連載された漫画で、ダークファンタジーものに分類されます。舞台は明治時代の日本で、主人公の竈門炭治郎たちが人間の血肉を食らう“鬼”と呼ばれる生物と戦い、その始祖である鬼舞辻無惨を倒すまでを描いています。

鬼は千年以上前から存在しており、無惨のみがそれを増やすことができます。全ての鬼は元は人間で、そのほとんどが何らかの事情によって自ら鬼になることを望み、無惨の配下としてその為に働いています。

無惨を含む全ての鬼は、鬼になった時点で寿命という概念が無くなり、その時点の姿のまま老けることがなく、病気になることもありません。また、肉体的にどこを刺されようと切断されようとすぐに回復してしまう生命力をもつようになる為、ほぼ永遠に死ぬことはありませんが、弱点が2つだけあります。

その1つは、太陽の光を浴びると跡形もなく消滅してしまうという点で、それ故鬼たちは太陽の光が届かない屋内や夜間にしか活動することができません。もう1つは、炭治郎たちが所属する鬼殺隊の用いる“日輪刀”で首(または、それに相当する部位)を切断されることです。この日輪刀以外の武器で鬼を倒すことは実質的に不可能で、その日輪刀でさえ、首以外の部位は切断してもすぐに回復してしまいます。

鬼滅の刃を全く知らないという人は、まずここまでを覚えておくことで、どんな話なのかざっくりながら分かったと思います。

社会現象にまでなった理由として考えられる要素

このような話が社会現象にまでなった理由としてまず考えられるのは、話の筋が分かりやすく、1本だという点でしょう。主人公の炭治郎の生家が無惨に襲撃を受け、妹の禰豆子以外の家族を惨殺されてしまい、その仇討ちと鬼にされてしまった禰豆子を人間に戻すという明確な目的が最後までブレることなく展開されるので、とても分かりやすい話です。鬼については先に説明しましたが、禰豆子は鬼になりながらも無惨の配下とはならず、かろうじて自我を保っているという点にもとても興味をそそられます。

そして、炭治郎が鬼と戦う為に所属する鬼殺隊という組織にも魅力があり、“柱”と呼ばれる鬼殺隊を支える9人の精鋭剣士が居ますが、それぞれの半生が1人ずつクローズアップして語られる為、炭治郎や禰豆子だけでなく、この柱たる剣士も1人1人が人気になっています。邦画の歴代興行収入で堂々1位に輝いた劇場版の「鬼滅の刃 無限列車編」では、柱の1人である煉獄杏寿郎が命を落としてしまう壮絶な戦いが描かれましたが、この杏寿郎は柱の中でも一番人気だと推測されるキャラクターで、それも手伝ってこの興行成績を挙げることができたと言っていいでしょう。

更に、この話の中で出てくる色々な用語がいかにも日本的な響きながら、どれも耳に残るものばかりだという点も理由の1つだと考察されます。中でも“全集中(の呼吸)”はとても有名で、その呼吸と呼ばれるそれぞれの流派別の技の名前もキャッチなものばかりで、子供に人気になったのはそのような言葉が多数あったことが大きいと考えていいかも知れません。

また、鬼滅の刃に関するホームページや個人ブログ、それに鬼滅の刃の考察を行なっているサイトなどもあって、そうした記事などを読むことも鬼滅ファンのひとつにもなっています。

これからも“鬼滅人気”は続く?

鬼滅の刃は、2019年に放送された第一期のアニメが「炭治郎立志編」で、原作の漫画で7巻の途中までに相当します。2020年に公開された劇場版の「無限列車編」はその続きになり、8巻の途中までの内容で、2021年冬からの放送が予定されている「遊廓編」は8巻のその続きから11巻までの内容です。

アニメ化や映画化は未定ですが、更に12巻から15巻の途中にかけて「刀鍛冶の里編」、そこから最終章になる「無限城編」が23巻まで続くという流れになる為、まだまだこの人気は収まることはないでしょう。原作の漫画やアニメ、映画だけでなく、各種のグッズ展開も広く行われており、各キャラクターのフィギュアやぬいぐるみはもちろん、この作品とコラボレーションしたパッケージデザインの色々なお菓子を店頭で見ない日はないほどで、経済効果もすごいことになっているのは考えるまでもありません。

あくまで推測ですが、最後まで全てアニメ化されるとすると、ボリュームから考えて「遊廓編」は1クール(3ヶ月)の放送で、その次の「刀鍛冶の里編」も同様に1クール、最後の「無限城編」が「炭治郎立志編」と同じく2クールでの放送ということになりそうです。途中で番外編などとして劇場版を挟むことも考えられ、当分の間この鬼滅の刃ブームは続くことになりそうです。